MARUGOTO REPORT 農業まるごとレポート

つながる農業(三鷹市・吉野農園)

農園について

三鷹市の閑静な住宅街を抜けると、キウイフルーツの木が茂る農園があります。今回お話しを伺ったのは吉野崇弘さん。3名で4反の農園を経営しています。吉野農園では、鶏卵、キウイフルーツ、ナス、トマト、キュウリ、枝豆、スイートコーン、キャベツ、ブロッコリー、里芋、大根など人気の高いものを育てています。栽培品目は25〜30品目です。

野菜・鶏卵の直売所

上の写真のようなロッカーに入れて新鮮な野菜を販売しています。そのため、ロッカーに入らないような大きな野菜はあまり育てないそうです。この日もほとんどの野菜が昼過ぎには売り切れていました。

多くのニワトリ

吉野農園では、240〜250羽のニワトリを飼っています。飼い始めた理由は、草を食べてくれ、糞を肥料にでき、卵を販売するためです。1年毎にニワトリを別の小屋へ入れ替ることをしています。取材当日は気温が高かったため、ニワトリが穴を掘って涼んでいる姿を見ることができました。基本的に飼っているニワトリは小屋以外で卵を産まないそうです。購入した生後120日のニワトリを1週間小屋から出さないようにします。そうすることにより、ニワトリは小屋に入る習慣がつき、夕方には小屋に戻るようになります。

飼っているニワトリ

酸味と甘みが絶妙なバランスのキウイフルーツ

ヘイワードという品種を採用しています。果肉は緑色で酸味と甘みのバランスが良いです。酸味があるため、お菓子用に大変適している品種です。吉野さんは一度に収穫して保冷庫へ保管し、追熟させてから美味しくいただくそうです。

キウイフルーツ

鶏糞の利用

ビニールハウスでは鶏糞を乾燥させています。濡れていると虫が湧くため、完全に乾かすことが重要です。この鶏糞を肥料として使っています。

ビニールハウスの中で鶏糞を乾燥させている様子

遠回りが一番の近道

吉野さんは代々農家を経営する家系の7代目です。40歳での結婚を機に農家を継ぐことを決心しました。それまでは、スーツを着て通勤したいという理由から農からは遠ざかっていました。農家以外の道もあるのではないかと感じており、街を歩いていた時に偶然見つけたスターバックスコーヒーの募集を見て、そのまま就職しました。以来、伸び盛りのスターバックスコーヒーで店長職を13年勤めました。初めての接客でやりがいはありましたが、身体的にきつい部分がありました。

しかし、結婚して親戚付き合いをしているうちに、20代の頃は鬱陶しいと思っていた農家の後継としての自覚が芽生え、「土地を守るのは自分の役目だ」と思うようになります。想像以上に農業が世間から求められていることを感じたそうです。そして、今までの経験は無駄ではなかったと吉野さんは語ってくれました。

未来に続く仕組みづくりを

SNSを活用することで、一般の消費者の方に農に興味を持ってもらいたいと吉野さんは願います。何気ないことも発信し、応援者を増やしたいそうです。そのために、農の魅力を生かし、個人だけでなく団体で農業を盛り上げていきたいと語る吉野さん。子どもたちへ農業を託すにあたり、作業の効率化を考え、いかに今の農園の規模を保てるかを試行錯誤しています。求められれば動ける体制を整えていくことは、品質の良い作物をすぐに届けられることにつながります。今後もその仕組みづくりの基盤を固めたいそうです。

皆さんもぜひ吉野農園を訪れ、鶏卵や新鮮な野菜を手に入れてみてください。

吉野農園 プロフィール

  • 住所:

    東京都三鷹市野崎2-20-17

  • 電話番号:

    0422-31-6737

  • 営業時間:

    朝8時頃〜夜22時頃(無くなり次第終了)

  • 公式Facebookページ:

    https://www.facebook.com/yoshinofarm/

奥田 晏子

アグリドットトーキョー編集部。津田塾大学学芸学部英文学科所属。「農業サークルぽてと」に所属しており、森田との縁からぽてともっとに参画。もともと、祖母が家庭菜園をしており、幼い頃から農業が生活の近くにあったことから都市農業にも興味を持ちました。都市農業を始めとして新たな農業の「カタチ」をもっと知っていきたいと考えています。ディズニー映画が昔から大好きで、ディズニーリゾートにもたびたび足を運んでいます。テーマパークの地図を覚えることに苦戦中。好きな野菜はトマト。

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